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人と異なるものが掛け合わさることで、何か新しいものが生まれる。そんな新たな可能性を秘めたプロダクトとして、小国杉と銅を組み合わせた「MASS Series」は、阿蘇の景観をモチーフにデザインされている

自然と人、人と人の繋がりを紡ぎ、
“100年後の風景”をつくる家具を。

 正直に言うと、学生時代から家業である林業を継ぐ気はなかったんです。大学は工学部で、新卒で就職した会社もコンサルの会社、と林業に関係ないことばかりしていましたね。そんな私が家業である『穴井木材工場』の3代目を継ぐ決意をしたのは、父が病に倒れたことがきっかけでした。元々、小国杉は杉材の中でも粘り気が強く、強度が高いことから経年変化しても美しいブランド杉として、その品質を高く評価されていました。ところが、時代の変化に伴い、かつて小国・南小国町エリアに40軒ほどあった製材所は、たったの2軒に。改めて林業の実情を目の当たりにし、このままでは故郷の山がダメになってしまう、という危機感を覚え一念発起したのです。工場では、主に住宅の柱となる材木の製材を行っていますが、ある時、黒川温泉の旅館さんから小国杉を使った酒器やカトラリーの製造依頼をいただきました。

小国杉の魅力を感じる家具に
未来の林業への希望を託して。

 製品づくりに取り組む内に“デザインやプロダクトを通じて、山に目を向けてほしい”という思いが芽生え、2016年には林業を軸とした会社『Foreque』を創業、2017年にインテリアブランド『FIL』を立ち上げました。コンセプトは「Fulfilling life=満ち溢れる人生」。自然と人、人と人とが深い繋がりを持つ、小国の価値観を表現しています。人とモノの末永い関係性を育むプロダクトをつくり上げるために、東京やパリのクリエイターと手を取り、かたちにした家具は、ありがたいことにリリース直後から国内外の多数のメディアに取り上げていただいています。阿蘇の千年の歴史のなかで築き上げられた、人々の満ち足りた暮らしぶりを称える気持ちでつくった家具。これを見た100年後の子どもたちが、ふと山に目を向け、次世代の故郷の風景をつくる木を1本でも植えてくれたなら、私にとってこれ以上うれしいことはないですね。